2020.12.22
新型コロナウイルス感染症対応 休業支援金・給付金
新型コロナウイルスの感染が、気温低下や空気の乾燥とともに再び広がってきてしまいました。外出中はマスクを着用していても、職場や学校や、仲間同士での食事会など、ついマスクを外す場面等で予期せず感染してしまうのかもしれません。特に、家庭内でマスクをし続けるというのは困難ですし、家族の誰かが無症状で実は感染していたとしたら絶対と言っていいほどうつってしまいますよね。とにかく、皆で気を付けるしかないのですが、外ではマスク、密閉、密集、密接を避け、手を洗って感染防止を心掛けましょう。
さて、このような状況下で勤め先の仕事が減ってしまい、事業主から休業を命じられた場合、雇用されている人は、給与の替わりに「休業手当」を会社から支給されることになっています。しかし、売上が立たず現金が入ってこないなかで、会社に余裕がなければ、休業手当が払えないということもあります。また、アルバイトでまったくシフトを入れられなかったのに休業手当をもらえなかった人もいるでしょう。
もし、勤め先が中小事業主の範囲にあり、休業手当をもらえなかった場合は、「新型コロナウイルス感染症対応 休業支援金・給付金」が申請できる可能性があります。勤め先のほうから資金繰りが厳しいからと、申請を勧められるケースもあります。なお、休業支援金・給付金には申請期限があり、4月から9月分までの申請は令和2年12月31日までと期限が迫っているので、該当する場合は急ぐ必要があります。
雇用保険の通常の給付金とは異なり、今回は新型コロナウイルス感染症対応のために特例で用意された、勤め先から休業手当がもらえない場合に支給される「休業支援金・給付金」について解説します。
1.「休業支援金・給付金」の申請対象者
- ① 令和2年4月1日から令和3年2月28日までの間に、事業主の指示で休業した日がある。
- ② 勤め先が、以下の中小事業主の範囲に該当する。
主たる事業 | 資本金の額または出資の総額 | 常用雇用する労働者の数 |
---|---|---|
小売業(飲食店含む) | 5,000万円以下 | 50人以下 |
サービス業 | 5,000万円以下 | 100人以下 |
卸売業 | 1億円以下 | 100人以下 |
その他の業種 | 3億円以下 | 300人以下 |
- ③ 指示された休業日の賃金(休業手当)を受け取ることができなかった。
- ④ 勤め先が雇用保険、少なくとも労働保険には加入していて労働保険番号がある。
- ⑤ 勤め先による事業主欄の記入・署名、または記名・押印がもらえる。
なお、⑤については、事業主から証明がもらえなかったなどの事情があるときはその旨(倒産、事業主と連絡が取れない等)を記載して提出することで審査してもらえることがあります。この場合は、労働条件通知書、シフト勤務表、給与明細等、休業日数が確認できる資料を添付します。
2.「休業支援金・給付金」の申請期限
令和2年4月から9月分 | 令和2年12月31日(木)まで |
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令和2年10月から12月分 | 令和3年3月31日(水)まで |
令和3年1月から2月 | 2020年12月14日現在未定。決定次第厚生労働省のHPで発表されます。 |
3.申請に必要な書類と記載内容(労働者申請の場合)
※事業主申請と2パターンあります。
- ①休業支援金・給付金支給申請書(本人が記入)
- ・氏名、生年月日、住所、電話番号、振込先口座情報などの個人情報
- ・事業所の名称、事業所の所在地、休業した期間およびその間に働いた日や時短勤務をした日がある場合はその日数
- ・休業前6か月間のうち任意の3か月分の賃金額について給与明細の総支給額
- ②休業支援金、給付金支給要件確認書(本人および事業主が記入)
- ・申請する期間と支給要件の確認、および本人署名
- ・中小企業に該当するかの確認、雇用保険適用事業所番号、労働保険番号、申請する労働者についての質問への回答、休業状況や休業手当等についての質問への回答、事業主所在地、事業主名記入、押印
※支給要件確認書で休業の事実が確認できない場合でも、以下に該当する場合は休業支援金の対象となりました。「休業の事実」や「雇用の事実」が確認できないとして既に不支給決定を受けた場合でも、以下に該当し、その事実を証明できれば再度申請が可能となっています。
- A. 労働条件通知書に「週〇日勤務」など勤務予定日の記載がある、申請対象月のシフト表が出ているなどの場合で、事業主がその内容に誤りがないと確認できる場合。
- B. 休業開始月前の給与明細等で、6か月以上の間、原則月4日以上勤務しており、かつ、事業主が新型コロナウィルス感染症の影響がなければ申請対象月に勤務させていた意向が確認できる場合
- ③本人の氏名・住所が確認できる書類
- ・写真付き運転免許証・パスポート・個人番号カード・在留カードのコピー1点、または、健康保険証や年金証書、写真付き社員証、住民票記載事項証明書、公共料金の領収書などのうちコピー2点
- ④振込口座がわかる通帳やキャッシュカードのコピー
- ⑤休業前の給与明細3か月分と休業期間中の給与明細のコピー
※明細を紛失していたら、通帳コピーなどでも代替可能です。なお、通帳コピーの場合は手取り額しか確認できないため、手取り額を基に支給額が算定されます。
4.申請方法
郵送または電子申請
- 郵送先:〒600-8799 日本郵便株式会社 京都中央郵便局留置
厚生労働省 新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金ご担当者様 宛 - 電子申請には事前準備が必要ですので、厚生労働省のホームページをご確認ください。
5.支援金額の算定方法
1日当たり支給額
=休業前6か月間のうち任意の3か月の合計総支給額÷3か月間の歴日数(1月から3月までだと91日)×80%
(上限額は1日11,000円)
その月の支給額
=1日当たり支給額×(その月の歴日数-働いた日数や自己都合で休んだ日数)
例)月給20万円の人が、令和2年4月中1か月全休業を指示された場合
20万円×3か月=60万円 60万円÷91日×80%=日額5,275円
日額5,275円×30日=158,250円
例)月給20万円の人が、令和2年4月中に10日働いた場合
20万円×3か月=60万円 60万円÷91日×80%=日額5,275円
日額5,275円×(30日‐10日)=105,500円
おしまいに
この休業支援金・給付金は、給与明細を保管していないと申請が困難であったり、また予定されていたシフトの情報等は事業主からの協力を得ないと記載ができず申請ができない場合があるのが実情ですが、当初よりはだいぶ改善されています。
給与明細がなくても、振り込みで支払われていれば、手取り額から計算してもらえるということなので、事業主から証明をもらえなくてもあきらめないようにしましょう。なお、最終的に事業主から休業手当を受け取った場合は、支給された休業支援金・給付金は返還しなければなりません。また、一度申請したら取消や再申請などはできないので、厚生労働省のサイトや動画などをよく確認のうえ、間違えないよう申請の手続きをすることが必要です。ご注意ください。
【新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金コールセンター】
電話番号 : 0120-221-276
受付時間 : 月~金 8:30~20:00 / 土日祝 8:30~17:15
厚生労働省URL https://www.mhlw.go.jp/stf/kyugyoshienkin.html