2009.04.01
遺言・相続(13)賢い遺言書の書き方
皆さん、こんにちは! 皆さんの生活の上で相続問題は大切な事柄です。
このコラムの遺言・相続に関するコーナーでは、引続き必須の基本知識を中心に取り上げて参ります。前々号から「遺言」について3回のシリーズで紹介しております。
本号は、前号の「遺言がないと、どのような不都合が起きるか?」に続きまして、「賢い遺言書の書き方」について記述させて頂きます。
遺言を書く際の留意点
それでは、どのような遺言を書くのがより適切なのか、箇条的に記述したいと存じます。
- 法定相続分や遺留分をふまえつつ、遺産の指定、配分などを簡潔に明記する。
遺言書を書く際にはそれぞれの相続人の法定相続分や遺留分を頭の中で考えながら書くことが大切です。とくに特定の相続人に多く相続させる場合でも、それ以外の相続人の遺留分は侵さないように配慮し、遺言を巡って無用な軋轢が生じないようにすることが大切です。 - 個々の遺産ごとに相続人を明記することが大切で、包括的に割合で配分するといった、後で複数の相続人が分割に困るような配分にはしない。
遺言書の中には、よく被相続人の財産を「兄弟姉妹それぞれ4分の1ずつ分けるように」といった内容の遺言を書かれる方がいます。相続財産が現金だけの場合なら均等に分けることも可能ですが、たとえば家屋敷が相続財産の中心であった場合などは、家屋敷を分けろといっても、相続人は困ってしまいます。
したがって、可能なかぎり、長男には家屋敷を、長女には株式を、次男には預貯金をといったように個別に指定することが大切です。 - 誰になぜその遺産を遺すのかという理由を簡単に付記すると明瞭である。
たとえば、長男に家屋敷を相続させる場合、長男として代々の家屋敷を守り、お母さんの面倒を見て欲しいといったその理由を簡単に付記しておくと、長男やその他の相続人に対しても遺言者の気持ち、趣旨が伝わりやすいと思います。 - 遺言書には相続させる財産のみを記述し、余計な事項を入れない。
「お母さんを大切にせよ」、「兄弟仲良く暮らせ」といった所謂、精神訓話的な「世上遺言(せじょうゆいごん)」は、書いても効力がありません。紙面を費やすだけですので、簡潔に記載することが肝要です。 - 連帯保証などをしている場合は、必ず遺言に明記しておく。
相続人によっては、生前に借金をしていたり、人の債務の連帯保証人になっている場合があります。その場合には生前に相続人に内容を伝えておくとか、遺言で告知することが絶対に必要です。さもないと相続人は、負債も相続しますので、予期もしない負荷をかけることになってしまいます。
相続人が「単純承認」するのか、「相続放棄」をするのか、「限定承認」をするのかの選択肢を与える手立てが必要です。 - 廃除や認知する場合は、必ず遺言執行人を指定する。
遺言で特定の相続人を廃除する場合や子を認知する場合は、必ず生前に遺言執行人を決めておき、死後、その遺言執行人に廃除や認知の手続きをしてもらうことが必要です。 - 契約書と同じく遺言が複数の枚数にわたる場合は、各ページに契り印を押印する。
- できるだけ公正証書遺言にする。
以上が遺言書を書く際のおおまかな留意点です。
自筆証書遺言の記入例
次に、皆さんが「自筆証書遺言」を書く場合の参考のため、簡単な見本をお示ししたいと存じます。遺言の内容は、被相続人の財産の構成や相続人の数などによりそれぞれ相違がありますので、あくまでもこれは一例です。
記入の際の重要ポイント
- 上記遺言書の見本のように内容は簡潔明瞭に記入してください。
- 自筆証書遺言は、ご自分の手書きで書いてください。ワープロやパソコンによるものは無効になります。
- 作成年月日は「平成21年1月1日」のように年号と年月日まで書いてください。西暦でも構いません。日付のないものや不完全なものは無効になります。ただし、「平成21年文化の日」といったように月日が特定できる場合は有効です。
- 名前は漢字のフルネームで書いてください。作成者の姓名がないものは無効です。ただし、世間が認めているペンネームや俳号、雅号を書くのは有効です。
- 捺印は、認印でも構いませんが、後で判定をめぐってトラブルにならないよう実印を使うのが無難です。
以上が賢い遺言書を書く際の留意点です。自分の死後、相続人間で無用なトラブルが起こらないよう本稿をご活用頂ければ幸いです。
社会保険労務士、行政書士
小柴 正晴
小柴 正晴