2008.02.21
労災保険の基礎知識(1)仕事中や通勤途中に負傷したら
皆さん、こんにちは。
今回は、労災保険の概要と、仕事中や通勤の途中で負傷や疾病にかかったときの、治療費についてご説明します。
会社で仕事をしていて、誤って負傷してしまうことは、ときにあるものです。
例えば、こんなとき・・・
- 事務員がカッターで紙を裁断しているときに指まで切ってしまった。
- 営業マンが客先へ行く途中、駅の階段を踏み外し転倒して捻挫してしまった。
- 会社員が会社の敷地内でつまずき転んでしまった。
- シェフが飲食店で調理中にやけどをしてしまった。
- 清掃員が高いところで作業をしていて下りる際、着地に失敗して骨折してしまった。
- 配達員が商品を持ち上げようとしたところ、ぎっくり腰になってしまった。
ケースは色々ありますよね。もちろん、重大事故も対象です。
このようなときは、健康保険ではなく、「労働者災害補償保険(以下、労災保険)」を使うことになります。
1.どんなときに労災保険が下りる?
原則として、勤務時間中に、行っていた業務が原因で、負傷や疾病にかかり、治療のため医師等の診療を必要としたときです。通勤途中の場合も対象になります。
また、業務上(又は通勤途中)の負傷や疾病が原因で、会社を休まなければならない状態になったときは休業補償、障害状態になったときは障害補償、死亡した場合は遺族補償など、その負傷や疾病の原因が業務上(又は通勤途中)であることが認められれば、それぞれのケースに応じ、保険給付が行われます。
2.保険料は誰が支払うの?
労働者とその家族を保護する目的で、労働者を1人でも雇っている事業所は、国の労災保険に入ることになっています。労災保険料は、全額会社が負担します。
その会社の業務内容により、危険度が異なるため、危険割合に応じて労災保険率が定められています。
3.労災の治療費請求の流れ
上記は、労災保険を使える病院で診療を受けた、一般的な場合です。労災の「療養の給付請求書」を提出すると、治療費は国が全額負担しますので、本人が現金を支払うことはありません。
但し、この請求書を提出しない間は、本人が治療費を一時立て替えることになります。
また、労災保険を扱っていない病院などに行った場合は、本人が治療費を支払い、病院を経由せずに、領収書を添付した「療養の費用請求書」を直接労働基準監督署に提出して請求します。
4.会社の代表者や役員は原則対象外
会社の代表者、役員、監査役は、労働者ではないので、労災保険の対象から外れます。
しかしながら、役員や監査役でも、従業員と同様に社長や他の役員の指示に従い、労働者としての仕事をしていて、その対価として「賃金」を受けている場合は、その部分において対象となります。
なお、下表に該当する中小企業の代表者や役員には、労災保険に加入できる「特別加入」の制度があります。中小企業の代表者や役員は、経営だけを担っているとは限らないからです。
業種 | 労働者数 |
---|---|
金融業・保険業・不動産業・小売業 | 50人以下 |
サービス業・卸売業 | 100人以下 |
上記以外の業種 | 300人以下 |
「特別加入」する場合は、会社が労働保険事務組合に労働保険の事務を委託する必要があります。 ご希望の場合は、社会保険労務士等にご相談ください。
『自賠責保険などが絡んでくる自動車事故のときは??』どうなるでしょうか。 このケースについては、また、次回以降にご説明します。