税金・保険コラム

2007.08.23

雇用保険が平成19年10月から変わります(2)育児休業給付ほか

前回は、基本手当(失業給付)の受給資格要件改正についてお話しましたが、その他にも今年の10月から、育児休業給付、教育訓練給付等の改正があります。
今回は、この2つに絞ってお話します。

1.育児休業給付

育児休業給付には、育児休業期間(原則として、1歳未満の子を養育する期間)中に支給される「育児休業基本給付金」と、育児休業終了後に職場復帰して6ヵ月経過時点で支給される「育児休業職場復帰給付金」とがあります。この育児休業給付は、1年以上雇用保険の被保険者期間がある人(育児休業を開始した日の前2年間に、賃金支払日が11日以上ある月が通算して12ヵ月以上ある一般被保険者を言います。期間雇用者は一定の要件があります。)が受給できる給付金です。今般、後者の「育児休業職場復帰給付金」の給付率が10%から20%に引き上げられます。
なお、引き上げた率での給付金を受けることができるのは、平成19年3月31日以降に職場復帰した人から、平成22年3月31日までに育児休業を開始した人までとなります。

  1. 育児休業中(子が1歳未満まで(保育所に入れない等の理由がある場合は子が1歳半前まで)
    育児休業基本給付金(改正なし)
    支給要件
    1. 継続して雇用保険の被保険者であること
    2. 育児休業中の各1ヶ月に20日以上の全日休業日(会社が休みの日を含む)があること。(但し、育児休業終了月は、休業日が1日以上で可)
    3. 育児休業中の各1ヶ月に支給された賃金額が、休業開始時賃金日額(※1)×30日の80%未満であること
    給付率 休業開始時賃金日額(※1)の30%相当額
    支給額(※3) 休業開始時賃金日額×30%相当額(※2)×全日休業日数
    休業前賃金の30% 原則 2ヵ月ごとに一度支給(申請は、通常会社が行う)

    ※1) 休業開始時賃金日額=休業開始直前6ヵ月間の賃金額の合計を180日で割った金額

    ※2) 育児休業中に会社から賃金が支払われた場合、その賃金額によって、以下のように取り扱われます。

    • 賃金額が休業開始時賃金月額の50%以下の場合には、給付金は30%相当額が支給されます。
    • 賃金額が50%超80%未満の場合には、賃金額と育児休業基本給付金の合計額が賃金月額の80%相当額を上限として支給調整され、給付金は30%から減額されます。
    • 賃金額が80%以上の場合には、給付金は支給されません。

     

    ※3) 育児休業給付金には、上限額・下限額があるため、必ずしも支給額が30%相当額になるとは限りません。
    なお、上限日額は14,140円、下限日額は2,070円となっています。(平成19年8月現在)

↓その後

  1. 育児休業後職場復帰し6ヵ月経過
    育児休業職場復帰給付金
    職場復帰日 (旧)平成19年3月30日まで
    (6ヵ月経過日=9月30日まで)
    (新)平成19年3月31日以降
    (6ヵ月経過日=10月1日以降)
    給付率 (旧)休業開始時賃金日額の10%相当額
    (新)休業開始時賃金日額の20%相当額
    支給要件 育児休業基本給付金を受給した雇用保険の被保険者で、育児休業終了後、引き続き被保険者として6ヵ月以上雇用されていること
    給付率 休業開始時賃金日額×給付率×育児休業基本給付金を受給した日数
    支給申請 6ヵ月を経過した日の翌日から2ヵ月を経過する日の属する月の末日まで(1回のみ・通常会社が行う)

    職場復帰を前提に育児休業を取っても、結局、職場復帰できず、退職に至るケースも多いですが、職場復帰された方は、復帰日と復帰後6ヵ月後がいつかをカレンダーに書いておき、ハローワークへの申請をお忘れなく。
    なお、平成19年10月1日以降に育児休業を開始した人が、育児休業基本給付金を受け、その後退職して基本手当(失業給付)を受けようとする場合は、被保険者であった期間(算定基礎期間)から、育児休業基本給付金を受けた日数分は除外されます。

2.教育訓練給付

教育訓練給付は、3年以上雇用保険の被保険者期間がある人が支給対象ですが、平成19年10月1日以降に指定教育訓練の受講を開始する場合は、初回の申請に限り、被保険者期間が1年以上あれば教育訓練給付を受給できることになります。
しかし、5年以上雇用保険の被保険者期間がある人の給付率は、40%から20%に一本化されるので、既に何か自己啓発したい!と考えている人は、9月30日までの受講開始をおすすめします。

受講開始日 被保険者期間 給付率(上限額)
平成19年9月30日まで(旧) 3年以上5年未満 20%(上限10万円)
5年以上 40%(上限20万円)
平成19年10月1日以降(新) 3年以上
※初回のみ1年以上
20%(上限10万円)

働きながら自己投資して自分に自信を付けたり、仕事に役立つことを勉強したりすれば、きっと仕事をすることが楽しくなります。
補足ですが、現在貴方が受けている講座は教育訓練給付の対象になっていませんか?確認してみたほうがいいかもしれません。

参考
社会保険労務士
木村 晃子
さいたま総合研究所人事研究会 所属
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