2019.01.22
保険見直しに俯瞰する視点を持つ
今年の目標を決めた方はいらっしゃいますか。年頭の目標が達成できない原因は、いつの間にか決めた目標を忘れてしまうからだそうですが、それだけでしょうか。
皆さんは、「象を食べるにはどうしたらよいか?」というなぞなぞを聞いたことがあるでしょうか。答えは、「一口ずつ食べる。」なんだそうです。なぞなぞとしてはちっとも気が利いているとは思えませんが、これは「課題分割」を言い換えたものだそうです。課題分割は、問題解決に有効な考え方のひとつです。
「どこから手をつけて良いのか分からない!」と叫びたくなるほど、処理しなければならない事柄が大量だったり、こんがらがったりしている場合でも、課題を細かく分けて一つずつ処理していけば、なんとかなるという意味です。
年頭の目標が達成できないのは、(目標が課題分割されず)大きすぎる塊のままなので、実際に何をすればよいのかが漠然としているせいでもあるようです。
しかし、さらに別なことも考えられます。別な視点から俯瞰的に全体像を見ることができていないので、対処の仕方が間違っているのかもしれません。筆者の自宅のテレビ画面が突然消えた時のようにです。
テレビはキャスター付きの台に乗せて床に置いてあり、その時は体をぶつけてしまったので、前にもあったように、電源が抜けたのだと思いました。しかし、電源コードはちゃんと刺さっています。ケーブルテレビ用の機器の電源を疑い、その機器につながっている電話回線用の機器を疑い、停電も疑い、ご近所に電話して尋ねたりしました。
しかし、結局は電源コードが原因でした。テレビには刺さっていましたが、壁のコンセントからは抜けていたのでした。
人生のマネープランを作る意味
生命保険の見直しをする時、家計の主たる担い手(たいていは夫)が被保険者として加入している保険のことを考えます。この時、医療保険の内容と死亡保険の医療特約の内容とが重複していないかなどに目が向きがちです。
しかし、そもそも死亡保険金の額はどうやって決めたのでしょうか。きちんと我が家仕様の保険契約にするには、「キャッシュフロー表」を作らなければなりません。
キャッシュフロー表というのは、1年ごとに家計の収支がどうなるかを書いた年表のようなものです。横軸を年、縦軸に家族ごとの名前をとって各人の年齢を書き、予定されるライフイベント(誕生、入学、就職等の出来事)も書き込みます。
子どもの教育費がかからなくなるまでとか、定年までとか、一般には20~30年分を目安に作成します。金利の変動は考慮せずに、現在の価格で考えます。
収入に関しては、勤務先の賃金規定を見てみましょう。モデル賃金表があったら、平均的に昇格したら年収がどうなるかが分かります。税金と社会保険料を除いた可処分所得を記入しましょう。
また、勤務先の福利厚生がどうなっているかも確認します。付加給付(医療費の補助、大手の健康保険組合などの独自給付)、死亡退職金、弔慰金等の規定です。ひょっとしたら会社で団体保険に入っているかも知れません。
遺族厚生年金の受給要件に該当するか、該当したらいくらになるのか、日本年金機構で相談することも必要でしょう。
こうやって家計の全体を俯瞰してから、本当に生命保険で補うべき必要死亡保障金額が分かるのです。
ところで、かつてとは異なり、共働き世帯の方が専業主婦世帯より多い現代では、妻の働き方は家計に大きな影響をもたらします。特に、住宅ローンなどがあって、妻が連帯債務者や連帯保証人である場合や、家計を夫同様に支えている場合には、妻に万一のことがあった場合、家計が受けるダメージは、相当なものになるでしょう。
働くお母さんには、保育園のお迎え時間に帰宅が間に合わず、二重保育を頼んでいる人や、兄弟2人が同じ保育園に入れず、別々の保育園への送り迎えだけでてんてこ舞いしている人が大勢います。
ということは、共働きの妻が亡くなった時、幼児がいて世話をする人手が必要な場合は、ベビーシッター代や家事代行費用などがかかることが考えられます。子どもがいない場合や、既に子どもが独立している場合とは違いがあるのです。
つまり、妻が死亡した場合も、家計はどうなるのかという視点が必要なのです。
~おしまいに~
キャッシュフロー表ですが、これは1人で作るのではなく、夫婦2人で作成すべきものでしょう。住宅を購入するとか、親の田舎にIターンするとか、転職するとか、子どもの教育方針とか、子どもの人数とか、キャッシュフロー表を作成するためには2人で相談しなければならないことがたくさんあります。
また、キャッシュフロー表は1度作ればおしまいというものではありません。人生は予想外のことが起こるものです。そのたびに、何度も作り替えていくしかありません。人生を考えるのに、1年の始まりはなかなか相応しいのではないでしょうか。