2007.06.28
宙に浮いた年金記録
突然降って湧いた「宙に浮いた年金記録」の問題で、国会もマスコミも国民も大変な騒ぎになっています。「もしかして、あの5000万件の中に私の年金記録もあるかもしれない・・・」とご心配の方がたくさんいらっしゃることでしょう。記録が正しく管理されていないことについての原因と責任の所在を明らかにするのは当然のことです。でも、ただただ、怒りを爆発させるだけではなく、ご自分が今、この件についてどのように対処すればよいのかということを冷静に考えてみる必要があります。
たとえば、若い頃からA社に勤めて勤続35年という方や転職はしたけれど、最初に作った厚生年金の手帳で転職先でも年金の手続きをしてきたよという方。また、私はずっと国民年金に加入しているという方等は、まったく問題はありませんのでご安心ください。確認が必要なのは、1996年以前に、国民年金と厚生年金や共済というように複数の年金制度に加入したことのある方や、転職や転居をするつど年金手帳を作ったので、何冊も年金手帳を持っているという方です。
しかし、このような方でも1997年に導入された基礎年金番号にすべての加入記録を統合していればまったく問題はありません。また、統合の手続きが済んでいなくてもすべての手帳を手元にお持ちか、すべての年金の記号番号を控えてあれば、まったく問題はありません。このような方々は、何も急いで年金記録の確認を行う必要はないのです。最終的には、年金の裁定請求時点で統合すればよいのです。今、社会保険事務所も空前の大混雑です。本当に確認が必要な方に、相談の窓口や電話回線を譲ってあげましょう。
ところで、今回の騒ぎの原因は、1997年1月に導入された基礎年金番号に遡ります。といっても、何も基礎年金番号が悪いわけではありません。ちょっと説明しましょうね。平成9年1月に、公的年金のすべての加入者と受給権者に基礎年金番号が送付されました。基礎年金番号は、個々人の年金加入記録を管理する番号で、当時加入していた年金制度の記号番号が基礎年金番号となりました。導入後は、厚生年金や国民年金、共済年金などの制度間の異動等があっても、すべて基礎年金番号によって手続きを行うことになっています。
しかし、この時点より前は、制度ごとに別の年金の番号が振付けられていました。また、転職の数だけ年金手帳がある人など、複数の年金手帳や番号を持っている状況はごく一般的なものでした。基礎年金番号が導入されたときに、複数の番号のある人は、すべての過去の記録を統合するべきだったのですが、未統合のままにされている記録があります。これが「宙に浮いている」といわれてい る記録の大部分なのです。ただし、最終的には、裁定請求の際に統合の手続きをすれば、問題ありません。