2008.02.28
読者からの素朴な相談(3)社会保険
- B子さん:50歳で専業主婦
- 夫:55歳で会社員(60歳で定年退職予定、厚生年金に38年加入予定)
- 2人の子供(26歳、23歳)は独立
以下の質問に回答をお願いします。
Q.夫が60歳で定年退職し、再就職をしない前提での質問です。退職後は、どのような社会保険に加入するのでしょう?又、保険料は、いくらくらい必要なのですか?
A.退職後、加入しなければならない社会保険は、ご夫婦それぞれ次の様になります。
- 夫:医療保険+介護保険
- B子:医療保険+介護保険+国民年金
解説
1.医療保険について
「医療保険」は、すべての方が終身加入しなければならない制度です。退職後の医療保険は、次の3つの選択肢がありますが、どれを選択しても自己負担割合や給付に大差はありません。保険料負担を中心に比較してみましょう。ただし、加入していた制度が、健康保険組合の場合は、付加給付として、特に手厚い給付が受けられる場合もありますので、その場合には、給付面からの検討も必要です。
(1)健康保険の任意継続被保険者となる
退職後、2年間に限り任意継続被保険者として、引き続き退職前の制度に加入することができます。手続きは、退職日の翌日から20日以内(厳守)に。なお2年経過後は、国民健康保険に移ることになります。
保険料は、会社負担(1/2)がなくなり、全額自己負担となります。政府管掌健康保険の場合、次の金額のうちいずれか低いほうとなります。
- 2万6404円(65歳未満の間・介護保険料含む)
- 2万6404円(65歳未満の間・介護保険料含む)
なお、健康保険組合の場合は、「2万6404円」の額が組合によって異なりますので、個別に問い合わせてください。
又、任意継続被保険者の配偶者で年収130万円未満の方は、被扶養者になり保険料は不要です。
(2)国民健康保険に加入する
「国民健康保険」の保険料は、次の方法を組み合わせて算定します。市区町村によって組合わせ方が異なるため、同じ所得の方でも、保険料には差が生じます。
- 均等割(加入者数に応じて。被扶養者も均等割の個別負担があります。)
- 所得割(前年の所得に応じて)
- 資産割(固定資産税額に応じて)
- 平等割(一世帯につき)
ただし、世帯あたりの保険料の上限額は年間で56万円です。また、定年退職者等については、保険料が減免される措置もありますので、市区町村にお問い合わせください。
(3)家族の被扶養者になる
家族に健康保険の被保険者がいる場合、その「被扶養者」になることもできます。この場合は保険料の個別負担は生じません。
被扶養者になることができるのは、退職する方の収入が下記の両方の基準を満たしている場合に限ります。
- 60歳以上の方の場合、本人の年収の見込額が180万円未満
- 被保険者の年収の1/2未満
「3.家族の被扶養者になる」の被扶養者に該当しない場合は、退職後1年目は、前年の年収が高い場合が多いので任意継続被保険者を選択しますが、2年目からは保険料を比較して国民健康保険に切り替えるケースが多いようです。
2.介護保険について
「介護保険」は、40歳以上65歳未満の方(第2号被保険者)と65歳以上の方(第1号被保険者)で保険料の支払い方法が異なります。第2号被保険者の方は、加入する医療保険の保険料に上乗せされます。被扶養者は保険料を納める必要はありません。第1号被保険者の保険料は、年金が年額18万円以上の場合は年金からの天引きとなります。又、18万円未満の場合は各自で納付することになります。
3.国民年金の保険料
夫が在職中は厚生年金に加入していますので、妻は国民年金の第3号被保険者でした。しかし、夫の退職に伴い、妻は「サラリーマンの妻」から「ただの妻」になり、国民年金の第1号被保険者に変わります。そして、60歳に達する月の前月まで、国民年金の保険料(平成20年度は14,410円)を支払うことになります。
なお、夫が再就職をし、厚生年金及び健康保険に加入する場合は、妻は引き続き国民年金の第3号被保険者及び健康保険の被扶養者になり、いずれも保険料の個別負担はありません。