2008.10.23
読者からの素朴な相談(11)年金の手続き II
まるでたっぷりと絵の具を含ませた絵筆を滑らせるように、紅葉前線が北から南へと、日本の国を美しく彩ってゆきます。秋真っ盛りとなりました。皆さま、いかがお過ごしですか?
話題となった「ねんきん特別便」も10月中に全員に送付された事と思います。もし、未到着の方は直ぐに社会保険事務所等へ連絡をし、確認して下さい。
今回は、前回に引き続き「年金の手続き II」をお届けします。
原先生が出演したNHK総合テレビ10月4日(土)放送の「家計診断~公的年金 受取額を増やすには~」を興味深く見た者ですが、その中の「付加年金」について教えて下さい。(自営業一筋の3人家庭、夫50歳、妻50歳、息子27歳)
A6:国民年金の第1号被保険者と任意加入被保険者だけが、付加保険料を支払うことができます。つまり、自分自身で国民年金の保険料(月額14,410円)を納付している人が、その保険料に400円の付加保険料を加算して納めることができるということですね。よって、ご主人様と奥様、息子さんも付加年金に加入できます。
A7:息子さんは、現在第1号被保険者でいらっしゃいますので、付加保険料を納めることができます。過去に厚生年金に加入していたことは、問題ありません。
A8:加入は、最寄の市町村役場の国民年金窓口、または、社会保険事務所に申し出れば、すぐに支払うことができます。また、払い込みは20歳以上最長65歳までの間の最大480ヶ月まで可能です。
A9:払い込みの途中で止めた場合は、払い込んだ期間に見合う年金を受け取ることとなります。
(例)60歳まで10年間払った場合48,000円(@400×120ヶ月)ですが、受取る際はどのように計算しますか?
A10:●付加年金の受取りは、終身です。老齢基礎年金の支給開始と同時に支払われます。ということは、老齢基礎年金を繰上げ受給すると付加年金も繰上げ受給(減額)になりますし、繰下げ受給をすると付加年金も増額支給になります。
●例題の計算では、1年目200円×120ヶ月=24,000円(受領額)、2年目200円×120ヶ月=24,000円(受領額)、とここまでで、支払った保険料は回収できます。3年目以降~終身受領可能ということで、3年目からは支払う保険料以上のプラスアルファーとなります。
付加年金は、国民年金だけの加入者におすすめしたい制度です。
A11:死亡後10日(国民年金は14日)以内に、死亡届と、未支給年金請求書を社会保険事務所に提出してください。提出が遅れ、亡くなった月の翌月以降の年金が支払われてしまった場合は、返さないといけませんので、注意してください。なお、障害厚生年金の1級または2級を受給している方が死亡した場合、配偶者に遺族厚生年金が発生します。社会保険事務所で手続きをしてください。
また、それ以外でも遺族厚生年金が発生するケースがありますので、社会保険事務所で相談してください。
病弱なため60歳から勤めをやめ養生生活の予定です。加入期間は2009年4月で40年間となります。直ぐに年金が必要です。年金申請に期限や制限はありますか?(2009年5月退職の会社員、59歳男性)
A12:年金は、60歳の誕生日の前日以後に請求することができます。その日に在職している場合でも請求はできます。また、申請の期限は特に設けられていませんので、請求が遅れても、遡って60歳からの年金が支給されますが、時効となった期間は年金を受け取ることができません。60歳に到達したら速やかに請求してください。
●再就職先を退職するときに裁定請求をすると有利であると考える方が少なくありませんが、これは間違いです。何歳で請求しても、一切の損得はありません。60歳で受給資格が発生する場合は、60歳時点で裁定請求をしておきましょう。
●年金は支給停止になる場合もありますが、「支給される」・「支給停止になる」にかかわらず、請求手続きをしておきましょう。