2008.12.25
退職予定者のあれも聞きたい、これも聞きたい年金相談シリーズ(1)
2008年もいよいよ残りわずかとなりました。私の子供のころ(ほんの○十年前のことですが・・・・)は、お正月の用意は、お餅つきをはじめ、家族総出で結構大変でした。しかし、最近はお正月もスーパーは開店しているし、おせち料理は苦手で、献立もいつもどおりというご家庭も多いですね。
さて、来年は退職して新しい生活に入る方もいらっしゃるでしょうね。皆様にとって、よい年となりますことをお祈りいたします。
今回は、2009年5月末の退職予定者にスポットを当て、「退職予定者の年金相談」をお届けします。
主な項目として(以下、順不同)「雇用保険と年金の調整」、「高年齢雇用継続給付金」、「在職老齢年金」、「繰上げ支給」などを予定しています。
相談者 昭和24年5月生れ、現在59歳の男性、会社勤務40年、厚生年金加入、2009年5月末定年退職予定。その後の勤務(継続勤務か完全リタイア)は検討中です。
第1回目 基本手当についての質問
Q1:雇用保険と年金、どっちが得?
来年5月、60歳で定年退職をしますが、引き続き働きたいと思っています、。でも希望の職種が見つからない場合は雇用保険を受けようと思っています。60歳からの年金見込み額(厚生年金報酬比例部分)は年間130万円程度です。雇用保険の加入期間より、厚生年金の加入期間(40年)のほうが長いので、年金のほうが有利のような気がします。どちらが得でしょうか? 現在の給料は月額約40万円(年額約480万円)です。
A1:60歳で定年退職をした後、再就職先を探すまでの間、雇用保険から受け取ることができる給付は「基本手当」です。しかし、年金も受け取れるので、どちらが有利かというご質問ですね。
年金は、加入期間に比例して金額が計算されますので、長期間年金に加入している方は、金額も高くなります。一方、基本手当は、加入期間は、受給できる金額には関係なく、退職直前6ヶ月間の給料(ボーナスは除く)の平均額を基準に決められます。あなたの場合は、40万円の給料ということですので、基本手当日額は約6000円となります。
年金額と比較してみますと、基本手当の方が金額が高くなります。60歳以上65歳未満の間は、年金と基本手当は、どちらか一方を選択することになりますので、金額だけを見れば、あなたは基本手当を受給したほうが有利なように思えます。しかし、ここで確認しておきたいことは、あなたの再就職の意思の強さです。
何が何でも再就職をするという固い意思をお持ちであるならば、求職活動をする間は、年金を受給して、再就職後に「高年齢雇用継続基本給付金」を受給しましょう。
これは、再就職後の給料の低下を補う趣旨の給付金ですが、基本手当を受給していないことが要件となっているからです。
A2:基本手当と年金は、どちらか有利な方を受給することができます。基本手当を選択した場合は、年金が支給停止されます。
【基本手当が有利なケース】
ご自宅近くのハローワークで「求職の申込み」(基本手当を受給する手続き)をしてください。基本手当を受給するとその間、年金は支給停止となりますが、年金の請求手続きは、60歳の誕生日の前日からできますので、社会保険事務所に年金請求書を提出してください。
その際社会保険事務所に「厚生年金保険老齢厚生年金受給権者支給停止事由該当届」が用意されていますので、必要事項を記入して提出します。この書類によって、あなたが「求職の申し込みをした月の翌月」から「基本手当の所定給付日数分の受給が終了した月」または「基本手当の受給期間が経過した月」の内、いずれか早い時期までの間、年金が支給停止となります。その後、支給は再開されますが、手続きは、すべて自動的に行われますので、あなたが特に手続きを行う必要はありません。
【年金が有利なケース】
年金を受給する方が有利になるケースでは、「求職の申込み」を行わないでください。もし、手続きをしてしまった場合は、指定された失業認定日に出向かないようにしてください。そして、失業の認定が行われなかった月が確認されるつど、その月分の年金が支払われます。支払いは、約3ヶ月後から始まり、1ヶ月分ずつになります。
さて、年金額が基本手当を上回るのは、長期加入者(厚生年金の加入期間が44年以上ある方)の特例により年金を受給するケース等があります。
長期加入者は、60歳から報酬比例部分に加えて定額部分とが支給されます。また、対象者がいる場合には加給年金額も加算されます。このような場合は、社会保険事務所で年金額を確認して、どちらを選ぶのか決めましょう。