2009.05.28
年金の素朴な疑問シリーズ(2)万一障害になったら
週末の朝、友人の農園で豆を採りました。そら豆、スナックえんどう、絹さや、おらんだ豆、うすいえんどうと種類豊富。豆採りは、斜め横から、上から、下から、逆方向からとあらゆる角度から葉やつるの中に隠れている鞘(さや)を見つけてはもぎます。友人いわく「人生は豆採りに似てるわ。あらゆる方向から今からはじけようとする可能性を探すのよ。」採り立ての豆の甘さと友人の言葉をかみしめました。
さて今回は、障害の2回目。「こんなときには障害の保障はどうなるの?」を紹介します。
A1:残念ながら、お父様は、65歳を超えていますので、障害の給付は受けることはできません。今受給している老齢の年金を引き続き受給されることとなります。
というのも障害の保障は、終身保障ではないからです。障害基礎年金は、出生のときから65歳に達する日の前日までに初診日のある病気や怪我が原因で生じた障害について保障されます。また、障害厚生年金は、厚生年金に加入中(最大70歳まで)に初診日のある病気や怪我が原因で生じた障害が保障の対象となるからです。
A1:ご長男の障害については、障害等級1・2級に該当していれば、20歳に達した時点で「20歳前障害基礎年金」を請求することができます。 国民年金の加入は、原則20歳からということになっています。しかし、20歳未満の間に負った傷病を原因として障害の状態になった場合は、国民年金の被保険者ではありませんが、障害等級、1・2級に該当していれば、20歳前障害基礎年金が発生します。支給開始は、20歳からとなります。
ただし、本人は保険料を納付していませんので、受給に際して、所得制限が設けられています。本人の所得額が360万4干円を超える場合には年金額の2分の1相当額を支給停止とし、462万1干円を超える場合には全額支給停止とする二段階制がとられています。
A3:あなたの場合は、在職中に初診日があったとのことですね。だとすれば、その病気や怪我が原因で障害状態になった場合は、それが退職後であっても、障害厚生年金の対象となります。これを「事後重症」といいます。あなたの障害の状態が障害等級の1級または2級に該当する場合、障害厚生年金と障害基礎年金が請求できます。(障害等級3級の場合は、障害厚生年金のみ請求できます。)
このように、初診日から1年6か月を経過した日、つまり障害認定日に障害の状態になくても、その後悪化して障害等級に該当すれば、65歳に達する日の前日までに請求することで、障害基礎年金や障害厚生年金が受給できるというのが、「事後重症」です。
なお、事後重症による障害の年金は、請求した翌月分からしか受給できませんので、障害等級に該当した場合は、すぐに請求してください。
A4:カルテの保存期限は5年ですので、それより前に初診日があり初診日の証明が取れない場合は、初診日を確認する上で、下記のような書類を参考資料として取り扱うこととされています。
- 労災の事故証明
- 交通事故の事故証明
- 健康保険給付や療養給付の記録
- 障害者手帳交付時の診断書
- 生命保険加入時の診断書
- 母子手帳交付時の健康診断記録
- 診察券
- 転院した場合、医療機関の問診等の記録
A5:年金には、「老齢」「障害」「死亡」を支給事由とするものがあります。一人の人に複数の年金受給権が発生した場合の取り扱いは、「一人一年金」が原則です。そのため、1階部分の基礎年金と2階部分の厚生年金(共済年金)は、基本的に同一の支給事由のものは併給、異なるものは選択するのが原則となっています。
そのため、あなたは60歳から65歳未満の間は、特別支給の老齢厚生年金と障害基礎年金は選択受給となります。しかし、65歳以後は、障害基礎年金については例外があり、下記の組み合わせのうち有利なものを選択することとなります。
この例外規定により、障害基礎年金の受給権者が、障害を有しながら就労して自ら保険料を納付しても年金給付に反映される仕組みとなりました。また、遺族厚生年金を受給する場合には、障害基礎年金と遺族厚生年金の併給もできます。
【65歳以後併給可能な組み合わせ】