年金コラム

2022.11.22

年金を増やせる?

皆さん、こんにちは。社会保険労務士の尾田佳子です。
早くも季節は巡り、もう冬が目の前にやってきていて…あっという間に年末ですね。
月日が流れるのは、本当に早いなと思います。

さて、今年は年金について、改正が多くありました。
10月にも大きな改正があり、テレビや新聞で取り上げられる機会も多く、皆さんの関心も高まっているなぁと感じます。

そして、こちらでも、何かが判明したようですよ。
何かが判明すれば、疑問点も出てくるようで…頼れるくーちゃん(公美)の出番です。

礎一郎:
「うちの嫁さん、ますます年金に詳しくなってきて、俺の年金についても確認したらしく、国民年金…えーっと、老齢基礎年金やっけ?それが少し少ないと言い出した。」
厚二郎:
「同時に、僕のも少ないと判明した!」
公美:
「??? そーくんはともかく、こーくんも?」
礎一郎:
「俺ら、大学卒業した時、お袋から年金手帳渡されてん。
俺はこれから、自分で国民年金掛けなあかんし、厚二郎は会社に提出せなあかんからって。」
公美:
「ひょっとして、20歳になってから卒業するまでの保険料、おばさん掛けてなかった?」
礎・厚:
「そうみたい!」
公美:
「まぁ、当時は20歳になっても、学生だったら納めても納めなくても良かったからね。」
厚二郎:
「くーちゃんは?」
公美:
「父親が納めてくれてたみたい。有難いことに。」
礎一郎:
「納めても納めなくてもいいのに、なんで少なくなるの?」
公美:
「納めてないからね。学生でも納めてる人はいるから、当然、差はつくよね。」
礎一郎:
「それもそうやな。」
厚二郎:
「あれは?学生やったら免除になるやつ!僕、子供にそれしたけどな。」
公美:
「残念ながら、私たちが学生の時は、学生の納付特例という制度はなかったのよ。
免除制度はあったけど、2人共、それじゃないよね。」

国民年金への任意加入

礎一郎:
「じゃ、しゃーないか。で、その納めてない期間分をこれから納めることが出来るって?」
公美:
「そうそう。老齢基礎年金って、20歳から60歳までの40年間全ての保険料を納めると、いわゆる満額の老齢基礎年金を受け取れるの。
だから、40年間に足りない期間分を、60歳から65歳になるまでの間、任意で国民年金に加入して、保険料を納めて、年金額を増やすってこと。
さかのぼっての任意加入はできないから、手続きした時点からになるけどね。」
礎一郎:
「保険料は、どうなる?」
公美:
「これから任意で加入するから、加入している時の保険料だよ。」
厚二郎:
「当時より高いけど、増えるなら、した方がいいかぁ」
公美:
「あ、こーくんは当分、仕事続けるよね?厚生年金に加入している間は出来ないよ。」
厚二郎:
「え?なんで??」
公美:
「厚生年金に加入してるから。年金制度には、1つにしか加入出来ないの。」
厚二郎:
「そしたら、僕の年金増えない?」
公美:
「国民年金部分の老齢基礎年金は増えないけど、厚生年金部分の老齢厚生年金は増えるよ。もし、65歳までに仕事辞めたら国民年金に任意加入出来る。」
礎一郎:
「厚二郎は働き続けなアカンってこっちゃ(笑)」
厚二郎:
「他人事やと思って…(哀)」
公美:
「国民年金は、納めることが出来る月数に上限があるから、満額と言われる金額より増えないけど、厚生年金は70歳まで加入出来るし、その分、老齢厚生年金も増えるよ。」
厚二郎:
「な…ななじゅうっ??」
礎一郎:
「あっという間やと思うで。」

付加保険料

公美:
「そーくん、任意加入するなら、付加保険料って言うのを、納めることができるよ。」
礎・厚:
「付加保険料?」
公美:
「うん。国民年金の保険料に400円をプラスすると、年金をもらう時に、200円×納めた月数で計算した付加年金が受け取れるって制度。」
礎一郎:
「いつまでもらえるん?」
公美:
「ずっと。命ある限り。」
厚二郎:
「僕の計算やと、2年で自分が払った分が取り戻せるけど?」
公美:
「うん、合ってる。人生100年ってことを思うと、お得に感じるよね」
厚二郎:
「でも僕は、400円プラスも出来ないんやね(哀)」
公美:
「厚生年金に加入している間はね。」
厚二郎:
「それにしても、そーくんの奥さん、すごいよな。いろいろ詳しくなって。」
公美:
自分の将来に直接関わってくるし、ちゃんと知っておかないとね。
それか、そーくん、いっそのこと、奥さんにバリバリ働いてもらって、専業主夫する?」
礎一郎:
「えぇ?!いやいや…まぁ、ご飯は作れるよ(笑)食堂の味やけど!」

!今回のポイント!

老齢基礎年金は、国民年金に加入すべき20歳から60歳までの40年間、全ての期間の保険料を納付した場合に、満額の老齢基礎年金を受け取ることが出来ます。(参考:令和4年度価額¥777,800)

その20歳から60歳までの40年間の間に、1月でも未納等の期間があると、満額の老齢基礎年金にはなりません。
また、40年と1月という期間も存在しません。

ただし、老齢基礎年金は原則65歳からの受け取りとなっているので、納付期間が40年間に満たない場合は、60歳から65歳までの5年間の間に、その不足している期間分、任意加入をして保険料を納付することができます。

今回のように、保険料を納めていない期間が、20歳到達後から大学卒業までであれば、通常3年程度(例外あり)なので、そーくんの年齢だと、65歳までの間に任意加入をして、保険料を納付すれば、満額の老齢基礎年金を受け取ることは可能ですね。

また、国民年金に加入し、自分自身で保険料を納めている場合は、400円をプラスして“付加保険料”を納付することが出来ます。
付加保険料を納付すると、65歳から老齢基礎年金を受け取る時に、200円×納付月数で計算した、“付加年金”を受け取ることが出来るので、年金を増やすことが出来ますね。

ご自身の納付月数等が気になった方は、毎年届く“ねんきん定期便”等で確認が出来ますし、お近くの年金事務所や街角の年金相談センター等で確認してくださいね。

!言葉のおさらい!

老齢基礎年金= 20歳から60歳までの間の40年間(480月)に、保険料を納付した月数によって計算される年金。
年金手帳= 年金制度に加入した際に基礎年金番号が付与され、発行される手帳。
ただし、令和4年4月に廃止となり、基礎年金番号通 知書にて番号が通知されるようになった。
学生の納付特例= 20歳以降、大学等に通学している間、学生であることを理由とし、国民年金保険料の納付の猶予を申し出る制度。
審査の上、認定されると、保険料の納付を要しない。この特例の期間は、年金の受給資格を確認する月数に含めることは出来るが、年金額を計算する月数には含まれない。10年以内であれば、納付することが可能。
国民年金への任意加入= 国民年金の強制加入期間中ではない場合に、任意で保険料を納めることができる制度。
保険料は任意加入期間中の保険料を納付。
老齢厚生年金= 厚生年金加入期間中の平均標準報酬額等に基づいて計算される年金。
付加保険料= 自分自身で納付する国民年金保険料に400円を上乗せして納付する保険料(任意)。
付加年金= 付加保険料を納付した場合に、老齢基礎年金の受け取りと同時に、200円×付加保険料を納めた月数で受け取る年金。
社会保険労務士
尾田佳子
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