年金コラム

2023.07.18

国民年金?厚生年金?

皆さん、こんにちは。社会保険労務士の尾田佳子です。
今年は、例年に比べて梅雨入りも早く、雨量も多かったように思いますが、皆さまのお住まいの地域はいかがでしたでしょうか?
季節はどんどん巡っており、今年も後半に入りましたね。1日1日を大切に過ごすことが大切だなぁと、つくづく思います。

さて、令和5年度の年金額は、前年度より増えるというニュースをご覧になったことはあるでしょうか?
年金額は、毎年見直しが行われ、増える場合でも、少なくなる場合でも、必ずニュースになります。
老後の生活の大きな柱となりますから、まだまだだと思われる方も一度、ニュースに耳を傾けてみてくださいね。

さぁ、昭和の香りの残る、この商店街。いつもの食堂・・・
おや?今日は、こーくんが、くーちゃんを呼び出したようですよ。
何かあったのでしょうか?

公美:
「こーくん、いる? あ、いた。何、助けてって。」
厚二郎:
「いや、助けては大げさなんやけど…。会社のパートさんが、去年から健康保険と厚生年金に入るようになってん。」
公美:
「短時間のパートさんも対象になったからね。」
厚二郎:
「そう。それで、いろいろ聞かれるようになって…。今まで、見たことがなかったねんきん定期便を見たらしい。」
礎一郎:
「皆、見てないもんやな。」
公美:
「そこ、安心するとこちゃうよ(笑)」
厚二郎:
「確かに(笑) で、今まで、長いこと旦那さんの扶養に入ってたのに、厚生年金の期間がすごい短かってんて。それでビックリして、なんで?と聞いてきた。」
公美:
「ふうん…って、なんで、こーくんとこに聞きにくるの?」
厚二郎:
「なんでか僕、会社では年金に詳しい人になってるみたい…」
礎一郎・公美:
「(笑)」

国民年金第3号被保険者

公美:
「旦那さんの扶養に入ってるって言ったって、厚生年金の月数が増える訳じゃないよ。」
礎一郎:
「えっ、そうなん?」
公美:
「そーくんまで!?旦那さんは、厚生年金に入ってはるけど、扶養されてる奥さんは国民年金だけに加入してるから、国民年金の月数が増えるだけ。」
厚二郎:
「え?どういうこと?何て説明すればいいん?」
公美:
「法律上の表現で話すとしたら、会社勤めしてたりして、厚生年金に加入している人は、国民年金の第2号被保険者になってる。で、その第2号被保険者に扶養されてる20歳から60歳未満の配偶者は、国民年金の第3号被保険者。」
礎一郎:
「頭がこんがらがってきたぞ?」
公美:
「確かに、ややこしく感じるよね。
日本に住んでる20歳から60歳未満の人は、皆、国民年金に加入してて、その上で、会社勤めしてる人は厚生年金保険にも加入してるって感じかな。」
礎一郎:
「それで、国民年金は基礎年金って言うのか!」
公美:
「そうそう!国民年金は、1階部分ね。だから、基礎年金って言われるの。」
厚二郎:
「だから、いくら旦那さんが厚生年金でも、妻は会社勤めしてる訳じゃないから、国民年金ってことか。」
公美:
「そそ。で、その第3号被保険者の人は、国民年金に加入してるけど、保険料を納める必要がないよね。」
厚二郎:
「それって、ありがたい制度やんな。」
礎一郎:
「確かに。俺からしたら羨ましい。嫁さんは第3号被保険者になれないから、ずっと保険料納めてきたし。」
公美:
「そうやんね。60歳超えてから、奥さん自身が厚生年金に加入することになったしね。」

配偶者?妻?

厚二郎:
「ところでくーちゃん。さっきから、嫁さんのこと、配偶者って言ってるのが気になるんやけど?」
公美:
「うん。だって、妻に限らないからね。夫も、妻から見たら配偶者やし。働く奥さんに扶養されてる旦那さんもいるしね。」
礎・厚:
「なるほど」
厚二郎:
「あ、じゃあ、そーくんは3号になれるんちゃう?奥さん、厚生年金に加入したやん?」
礎一郎:
「えっ?」
公美:
「60歳未満でないと、3号になられへんし、60歳未満でも、収入が基準を超えていたらアカンよ。」
厚二郎:
「あ、そっか…」
礎一郎:
「1コ知ると、1コ忘れるな…」
公美:
「その繰り返しだよ(笑) こーくん、会社のパートさんに、上手く説明してあげてね。」
厚二郎:
「それが問題や!がんばるわ!」

!今回のポイント!

1年に1回、お誕生月に届くねんきん定期便。
節目年齢と言われる35歳・45歳・59歳には、大きな封筒が届くので分かりやすいのですが、その年齢以外はハガキが届くので、見落としたりするかも知れませんね。

見方の説明も書いてありますが、細かいことがたくさん書かれていて、じっくり読むことに疲れてしまう方も…
落ち着いたら…と思っている内に、新しいのが届いた!なんてことも(笑)

けれど、もし、その記録に誤りがあった場合、訂正は早い方がいいですよね。
その誤りも、自分が年金の手続きをする時には、忘れているかも知れないですから…

定期便を見て、誤りはもちろん、すぐに訂正の手続きをした方がいいですし、疑問点がある場合は、すぐに解決しておくようにしましょう。
あの時、早めの手続きをしておけば…という後悔をしないためにも。

!言葉のおさらい!

ねんきん定期便

年金制度に加入している人の元に、加入年金制度や年金見込み額等が記載され、お誕生月に届く。
節目年齢(35歳・45歳・59歳)の人には、加入後の全記録が記載された封筒が届き、節目年齢以外の人には、直近1年ほどの記録のみが記載された圧着ハガキが届く。

国民年金制度

昭和36年4月からスタート。
日本国内に住所がある20歳から60歳未満の方は、全員、国民年金制度に加入。
年金制度のベースとなるものなので、基礎年金や、1階部分という表現もされる。

国民年金第2号被保険

民間企業や公務員等、厚生年金制度に加入している65歳までの方。
65歳以上で厚生年金保険に加入している人は、国民年金第2号被保険者ではなくなる。

国民年金第3号被保険者

国民年金第2号被保険者に扶養されている、20歳から60歳未満の方。
収入や住んでいる場所等、第2号被保険者に扶養されていることの証明が必要。

社会保険労務士
尾田佳子
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