2023.11.21
グローバル化にも対応!
皆さん、こんにちは。社会保険労務士の尾田佳子です。
最近、都市部だけでなく、あちこちで外国人の方の姿を見かけるようになりました。
先日は、観光地ではない、商業施設が立ち並ぶ街中で、私の方が観光客?と思ってしまうくらい、外国人の方が多くて、ビックリしました。
日本に住んでいると、なかなか気付けない日本の魅力が、外国人の方にはたくさん見えているんでしょうね。
そういう魅力に気付きながら、日本人として誇りを持って暮らしていきたいな…と、思いました。
さて、いつもの食堂では、見慣れない顔がいるようですよ?
ちょっと、覗いてみましょうか。
- 公美:
- 「こんにちは~。ご飯食べさせて~」
- アルバイト:
- 「イ…イラシャマセ。」
- 公美:
- 「ん?」
- 礎一郎:
- 「あ、くーちゃん、いらっしゃい。紹介するよ。こちら、ダヴァンくん。こっちの大学に留学してて、今月からうちで、アルバイトすることになってん。」
- 公美:
- 「へぇ!何でまたこんな食堂で?」
- 礎一郎:
- 「こんなって!」
- ダヴァン:
- 「ニホンの良き所、残してるからデス。」
- 公美:
- 「ま、それは言えてる。ホッとするもんね。」
- ダヴァン:
- 「はい。僕はニホンで仕事して、暮らした・・・イデス。」
外国籍の国民年金加入
- 礎一郎:
- 「で、くーちゃんに相談なんやけど、ダヴァンくん、今月、20歳になったらしいねん。」
- 公美:
- 「あー、国民年金ね。」
- 礎一郎:
- 「日本人じゃないけど、掛けなアカンねんな?」
- 公美:
- 「うん。日本に住民票がある人は加入しなアカンよ。案内届いてない?」
- ダヴァン:
- 「来ました。ガッコウからも説明ありました。」
- 公美:
- 「納めるのが原則だけど、もし、難しいようであれば、猶予してもらうことも出来るから。」
- ダヴァン:
- 「ユウヨ?」
- 礎一郎:
- 「納めなくてもいいよっていう制度があるねん。
くーちゃん、学生の納付特例やんな?外国人でも出来るん? 」
- 公美:
- 「国籍は関係ないよ。日本に住んで、日本に住民票があったら、同じ扱い。」
- 礎一郎:
- 「じゃあ、ダヴァンくん、休み明けにでも手続き行こうか?俺、ついて行くし。」
- 公美:
- 「うーん・・・でも、ダヴァンくんは、日本で暮らしていきたいんよね?
そしたら、将来、日本の年金を受け取ることも考えたら、納めておくっていうのも1つの選択肢かなぁ。」
- 礎一郎:
- 「受け取る年金額が変わるから?」
- 公美:
- 「うん。日本で就職してから、猶予期間分の保険料納めるのもありだけど、負担になるんじゃないかと思うんよね。今、アルバイト代から払うのしんどい?勉強もせなあかんしねぇ?」
老後だけではなく、現在にも備える
- 礎一郎:
- 「卒業後、日本で就職したら、厚生年金に加入することになるだろうし。ゆっくり考えようか?」
- ダヴァン:
- 「ソウですね。よろしくお願・・・イシマス。」
- 公美:
- 「あー、でも、気を付けて!猶予してもらわないってなった時、後から保険料を納めることは出来るけど、納めるまでの間に、病気やケガで障害を負ってしまったら、障害年金の請求に必要な要件を満たさなくて、請求出来なくなることもあるから。」
- 礎一郎:
- 「あぁ、そうか!納めるべき期限までに納めていなかったら、未納と同じやもんな。
やっぱり、手続きすべき時に、きちんと手続きすることが大切なんやなぁ。」
- 公美:
- 「そうそう!なので、ダヴァンくんも、早めにね。」
- 厚二郎:
- 「昭和レトロなうちの食堂にも、グローバル化の波がやってくるとはね~。」
- 公美:
- 「えっ?!こーくん?いたの?」
- 厚二郎:
- 「いましたよ~。ダヴァンくんの影響か、僕んとこの子、海外で仕事するとか言い出した。」
- ダヴァン:
- 「その時、ボク、キョウリョクします!」
- 全員:
- 「いいねぇ!(みんなで大笑い!)」
!今回のポイント!
現在の日本の年金制度は、国籍を問われていません。
日本国内に住所を有する人は、原則、国民年金に加入することになります。
学生であっても、同様の扱いとなります。
免除や猶予の制度も、原則、同様の扱いとなりますが、法律上、一定の条件に当てはまった時に当然に免除される法定免除だけは、日本国籍でなければ該当しません。
外国籍であっても、日本の年金制度に加入し、保険料の納付や免除・猶予の期間をあわせて10年以上有していれば、将来、必要な手続きを行うことによって、年金を一生涯受け取ることが出来ます。
たとえ、日本国外にいても、同様の扱いとなります。
また、障害年金や遺族年金についても、同様の扱いとなっています。
いずれの年金も、保険料の納付時期や期間、免除や猶予の手続き時期が重要となります。
何事もなく、過ごしていけるのが1番ですが、何かあった時に支えになるのも、公的年金の役割ですね。
年金と聞くと、老後の話ばかりに思えるようですが、実は、身近な話でもあるんですね。
!言葉のおさらい!
学生の納付特例
20歳以降、大学等に通学している間、学生であることを理由とし、国民年金保険料の納付の猶予を申し出る制度(申し出をしない場合は、保険料を納付)。
学生本人の前年所得が一定以下であることが要件で、認定されると、保険料の納付を要しない。
この特例の期間は、年金の受給資格を確認する月数に含めることは出来るが、年金額を計算する月数には含まれない(申し出をせずに納付した場合に比べて、年金額が低額になる)。
10年以内であれば納付(追納)することが可能。
障害年金
年金制度に加入中等の病気やケガにより、障害の状態に該当した場合に受け取れる年金。
*受け取るには様々な要件を満たすことが必要となります。
法定免除
国民年金保険料の免除制度の1つで、日本国籍を有する者にのみ適用。
2級以上の障害年金を受け取っている時や、生活保護の生活扶助を受けている場合等に、居住所の市区町村で届出をすることで、該当している期間、保険料の全額が免除となる制度。
この期間は、年金の受給資格を確認する月数、年金額を計算する月数のいずれにも含まれる。
本人の希望により、保険料を納付することも可能。
尾田佳子