2011.02.24
特集「共済年金」(1)
公的年金の額は、受給者の生活を守るために賃金や物価の変動をもとに、毎年度見直しが行われます。全国消費者物価指数の対前年比変動率は、平成22年と平成21年ではマイナス0.7%でしたが、平成23年度の年金額は、0.4%の引き下げとなります。その理由は、現在支給されている年金額は、特例により平成17年の物価を基準に改定することになっているからです。平成22年と平成17年の物価変動率は、マイナス0.4%となるので、この率で改定されます。
- 平成23年度の老齢基礎年金の満額:788,900円(年額)
- 平成23年度の国民年金の保険料:15,020円(月額)
A1:共済年金は、大きく分けて、「国家公務員等共済組合」「地方公務員等共済組合」「私立学校教職員共済」の3つの種類があります。
共済の中で、複数の制度に加入したときの基本的な取り扱いですが、「国家公務員等共済組合」「地方公務員等共済組合」は、どちらも公務員共済なので、通算制度があります。ただし、私学共済は、公務員共済と別制度なので通算制度はありません。
例えば、「国家公務員等共済組合」に3年加入した後、「地方公務員等共済組合」に33年加入し、また異動して「国家公務員共済組合」に戻り、60歳で退職した場合、38年の期間はすべて「国家公務員等共済組合」となります。
A2:退職共済年金の仕組みは、基本的には老齢厚生年金と同じですが、共済年金には独自の上乗せ給付として職域年金があることが大きな違いです。また、女性の特別支給の退職共済年金の65歳への切り替えスケジュールや60歳以後の在職による支給停止の考え方、遺族年金の転給制度、障害共済年金の在職の支給停止等々、厚生年金と異なる部分も見られます。
A3:特別支給の退職共済年金の受給権は、次の3つの条件を満たしていれば、退職・在職には関係なく、生年月日に応じて発生します。
- 受給資格期間(原則25年以上)を満たしていること
- 組合員期間が1年以上あること
- 支給開始年齢に到達すること
A4:共済組合の加入期間(1年以上・1年未満)と生年月日で、受給開始年齢は決まります。
- 1年以上 → 生年月日によって60歳~64歳の間(図表1参考)
- 1年未満 → 65歳から
さて、ここで注意していただきたいのは、女性の共済組合員の方は、男性と同じスケジュールで受給開始年齢が65歳へと切り替わっている点です。厚生年金では、女性は男性より5年遅く切り替えが進みます。そのため、共済年金と厚生年金の両方に加入していた女性の方の中には、老齢厚生年金では定額部分が支給されるのに、退職共済年金では支給されないということもあります。
この他、特定消防組合員の方は、特別支給退職共済年金の支給スタイルについて、特例があります。生まれた昭和○○年からマイナス6年した生年月日の年金スタイルに該当します。例えば、昭和26年4月2日生まれの方は、昭和20年4月2日生まれの方のスタイルとなるため、本来であれば、定額部分の支給はないのですが、63歳から定額部分と対象者がいれば、加給年金額も加算されます。
また、長期加入者(共済年金の加入期間が44年以上ある方)や障害等級3級以上の障害がある方は、生年月日にかかわらず、報酬比例部分(職域年金額を含む)の支給開始とともに定額部分、さらに対象者がいる場合は加給年金額も支給される特例があります。これは、厚生年金と同様の特例です。
A5:退職共済年金の報酬比例部分相当額に上乗せされるもので、図表2のようになっています。
職域年金は、1年以上引き続く組合員期間があれば支給されます(組合員期間が1年未満の場合は支給されません)。支給額は、組合員期間が20年以上の場合は、報酬比例部分相当額の20%、20年未満の場合は10%の金額となります。具体的な計算式は、図表3のようになっています。
A6:加給年金額も対象者がいれば、厚生年金と同様に加入期間が20年以上の退職共済年金に加算されます。
加算開始の時期は、65歳(定額部分が支給される場合は、支給開始時点)から、配偶者が65歳に到達する月までです。65歳以後は、配偶者の老齢基礎年金に振替加算額として加算されます。
ただし、厚生年金と共済年金のそれぞれの期間が20年以上あり、厚生年金からも加給年金額が支給される場合は、共済からは加給年金額の加算はありません(複数の制度から、加給年金額が支給されることはありません)。加給年金額支給の優先順位があり、次の通りとなっています。