2011.04.06
特集「共済年金」(2)
このたび発生した東北地方太平洋沖地震により、亡くなられた方々のご冥福をお祈り申し上げますとともに、被災された皆様に対しまして、心よりお見舞い申し上げます。一日も早い復興をお祈り申し上げます。
新年度を迎え、20歳以上の学生の皆様に忘れずにしていただきたい手続きがあります。それは、「学生納付特例」の手続きです。手続きを行いますと、国民年金保険料の納付ができなくても、老齢基礎年金を受給する際に必要な25年の加入期間に合算できる期間となりますし、障害基礎年金の支給の際に問われる保険料納付要件についても納付したものとされます。そのまま放置しておくと、滞納期間となってしまい、将来の年金に不利益が生じることになりますので、注意してください。この手続きは毎年必要です。詳しくは、日本年金機構のWebサイトをご覧ください。
さて、今回は、共済年金に加入していたAさんご夫妻をモデルに受給できる年金スタイルや老後の収支のシミュレーションを見てゆきましょう。
[夫]
- 昭和26年12月4日生まれ
- 共済年金に38年加入で、給料等の平均値は35万円
- 昭和28年11月22日生まれ
- 厚生年金に5年、国民年金に27年加入で、給料の平均値は15万円
A7:今年60歳になるAさんご夫妻の年金スタイルを見てみましょう(図1参照)。
ご主人は、60歳から特別支給の退職共済年金として報酬比例部分と職域加算額が支給されます。65歳になるとそれに加えて老齢基礎年金が支給されます。また、65歳時点からは退職共済年金に加給年金額が加算されます。
奥様は、特別支給の老齢厚生年金として60歳から報酬比例部分、64歳から定額部分が支給されます。若い頃のお勤めですので、給料の平均値も少なく、期間も短いので金額も少なくなっています。65歳からは老齢基礎年金が支給され、振替加算額も加算されます。
A8:老後資金を1,500万円、生活費を月額30万円として、60歳から年金のみの生活に入った場合の資金収支を検証してみましょう(図2参照)。
1,500万円の老後資金は、ご主人が71歳代で尽き果て、その後は月額6万円の赤字が続き、87歳まで生きると約1,000万円の不足が生じます。特に注目したいのは、64歳時点(図3の相談者年齢64歳の表示は64歳11ヵ月時点の残高を示しています)での資産残高が450万円であるという点です。60歳から年金のみの生活に入ると約1,000万円を最初の5年間で使い果たしてしまうということになります。
そこで安心できる老後の資金対策として考えられることは、次の3点です。
- 節約する
- 働く
- 運用する
A9:何歳まで、老後資金を保持したいかにもよりますが、ご主人が87歳の時点まで老後資金を保持したいという場合には、87歳での不足額990万円を60歳からの月数12月×27年=324月で割ります。するとひと月あたり3万556円≒3万円の節約が必要ということが分かります。30万円の生活費を見直して、27万円程度に抑えることができれば、60歳から年金だけの生活に入ることも可能です。
【参考】
Q:厚生年金と共済年金に加入していたB子さん(女性)が受給できる年金スタイルはどのようになりますか?
- 昭和26年12月4日生まれ
- 厚生年金に5年加入、その後国家公務員共済組合に33年加入
- 厚生年金の給料の平均値は15万円、共済年金の給料の平均値は32万円
A:今年60歳になるB子さんの年金スタイルを見てみましょう(図3参照)。
B子さんは厚生年金と共済年金に加入していたので、特別支給の老齢厚生年金と特別支給の退職共済年金が60歳から支給されます。厚生年金は64歳から定額部分が支給されますが、共済年金からは定額部分が支給されない点に注意してください。
なお、年金の請求手続きは、共済組合と年金事務所の2ヵ所で行います。
働いた場合の年金については、次回の特集「共済年金」(3)に続きます。