2011.06.23
大きく得する年金の分岐点(1)厚生年金を20年にしよう!
人生には、「あと少し頑張れば、もっと違った結果になったのに・・・」と思うことがあります。そういえば・・・・・・ほら、あなたも思い当ることがあるでしょう? これは、年金制度も同様で「あと少しの努力で、こんなに年金額が違うの!?」と言う分岐点があります。年金では、加入月数が本体の年金額はもちろんのこと、加算額の加算の有無や特例への該当などに大きく影響します。その分岐点がどこにあるのかを知って、ご自身に該当することがあれば、是非あと少しの努力を積み重ねてみてください。今回から5回シリーズで、「大きく得する年金の分岐点」をお届けします。
A1:あなたが60歳以後、あと1年厚生年金に加入して、厚生年金の期間を20年にすると、ご夫婦それぞれに加算が付いて、大きく年金が増えます。
まず、あなたの厚生年金が19年の場合の年金スタイル【図1】を見てください。あなたも奥様もご自身の基本の年金額だけを受給するのみで、加算額は何もありません。
ところが、厚生年金の期間をあなたが65歳になるまでに20年以上にすると、次の【図2】にあるように加給年金額・振替加算額と言う赤い部分がプラスになり、ご夫婦での総受取額が、大きくアップします。
あなたに65歳から加算される加給年金額とは、年金の家族手当のようなものです。この加算は、奥様が65歳に達するまでとなり、65歳以後は、奥様の老齢基礎年金に振替加算額が加算されます。加算は、原則終身です。
加給年金額は、年間394,500円、振替加算額は奥様の場合、年間57,400円です。奥様が60歳からの平均余命である88歳まで生きるとすれば、ご夫婦の終身受取額は約250万円アップ!!となります。
※加給年金額と振替加算額は下記「年金基礎知識!!」をご覧ください。
- 加給年金額:394,500円×3年≒118万円
- 振替加算額:57,400円×23年≒132万円
- 合計:約250万円
注)なお、ご夫婦の年齢差によって、増加する年金額は違ってきます。ご夫婦の年齢差が大きいほど、増加額は多くなります。この試算は、あくまで、質問者の事例に関しての結果です。詳しくは、「年金手帳」「ねんきん定期便」をご持参のうえ、年金事務所でご相談されることをおすすめします。
年金基礎知識!!【加給年金額・振替加算額】編
- 加給年金額
●加給年金額は、どんな時に加算されるの?
加給年金額は、老齢厚生年金や退職共済年金に加算されます。
加算の条件は、次のようになっています。(1)厚生年金(または共済年金)の加入期間が原則20年以上あること
(2)配偶者または子があること(「加給年金額対象者」といいます)
●配偶者にも条件がありますか?
配偶者の条件は、加給年金額の加算が始まる時点で、次の3つの条件をすべて満たしていることが必要です。
(1)前年の年収が850万円未満であること
(2)65歳未満であること
(3)加入期間が20年以上ある老齢厚生年金や退職共済年金または、障害基礎年金・障害厚生年金・障害共済年金を受給していないこと
●子にも条件がありますか?
18歳年度末までの間にある子または、20歳未満で障害等級1・2級の障がい状態にある子で、いずれも未婚であることが条件です。
●いつからいつまで加算されますか?
加算の開始は、特別支給の老齢厚生年金の定額部分が受給できる人はその時点から、定額部分がない人は65歳からです。
終了の時期は、配偶者が65歳に到達する月の前月までとなります。●金額はいくらですか?
配偶者に加算される額は、394,500円で定額です。
子に加算される額は、2人目までは1人につき227,000円、3人目からは75,600円です。●共働きの場合でも加給年金額は加算されるのですか?
共働きの場合は、配偶者が受給する年金で加算されるかどうかが決まります。障害基礎年金、障害厚生年金、障害共済年金を受給している場合、加給年金額は加算されません。老齢厚生年金、退職共済年金については、配偶者の加入年数により、次のようになります。
(1)加入期間20年以上の老齢厚生年金や退職共済年金を受給している場合
→ 受給している間は、加算は行われません。(2)加入期間20年未満の老齢厚生年金や退職共済年金を受給している場合
→ 受給している間も、加算は行われます。 - 振替加算額
●振替加算額とはどのようなもの?
加給年金額は、配偶者が65歳到達月の前月で終了します。65歳以後は、配偶者の老齢基礎年金に振替加算額が、加算されます。加算期間は、原則終身です。
なお、加入期間が20年以上ある老齢厚生年金や退職共済年金、障害年金を受給することができる人には加算はされません。●振替加算の金額は?
加算される人の生年月日によって、次のように定められています。なお、昭和41年4月2日以後生まれの人には加算されません。
昭和21年度 106,000円 昭和32年度 39,300円 昭和22年度 99,900円 昭和33年度 33,400円 昭和23年度 93,800円 昭和34年度 27,200円 昭和24年度 87,800円 昭和35年度 21,100円 昭和25年度 81,700円 昭和36年度 15,200円 昭和26年度 75,600円 昭和37年度 15,200円 昭和27年度 69,700円 昭和38年度 15,200円 昭和28年度 63,600円 昭和39年度 15,200円 昭和29年度 57,400円 昭和40年度 15,200円 昭和30年度 51,500円 昭和41年度 - 昭和31年度 45,400円