2012.03.22
クイズで挑戦、あなたの年金力チェック!(2)年金の請求・税金
公的年金は、物価の変化に連動して年金額が改定されるため、平成24年度はマイナス0.3%の減額改定となります。ところで、年金額改定のニュースや新聞記事の中でよく見聞きする「モデル年金」という言葉、気になっていませんか?
モデル年金とは、夫が会社員で妻が専業主婦という片働き夫婦の65歳時点での、それぞれの老齢基礎年金と夫の老齢厚生年金の合計額とされています。具体的には、夫は厚生年金に加入して40年間働き、平均収入(平均標準報酬月額)は36.0万円、妻は国民年金に第3号被保険者として40年間加入していたという世帯の合計年金額となります。
この設定に対して、「夫が18歳から42年間、または22歳から38年間働くケースの方がはるかに多い」、「妻も若い時に厚生年金の期間がある人がほとんど」という声があります。しかし、モデル年金は、代表的なよくあるタイプの年金ということではなく、年金の支給水準を決める指標となるもの、つまり定規のようなものなのです。そんなわけで、現実とは少しかけ離れているように感じますが、過去からずっと変わらず、片働き世帯の年金がモデル年金となっています。ちなみに平成24年4月からのモデル年金の月額は、230,940円の予定です。
さて、今回は、「年金の請求・税金」についてのクイズです。問題文の選択肢の中から正しいものを1つ選んでください。
掲載に当たり、
- 設問・解答・解説は、2012年1月現在の年金制度で作成しました。
- その他、関連する制度等は、当コラムのバックナンバーや下部の「参考」欄等をご参照ください。
【年金の請求】
- 年金を受給できる年齢になれば、自動的に支払いが行われる
- 年金を受給できる年齢に達しても、請求しなければ受け取ることはできない
解説:年金はそれぞれに受給要件(老齢、障害、遺族給付を受けるための条件)があり、それを満たす人が厚生労働大臣に請求し、裁定(年金受給の権利が存在することを公的に確認すること)されてはじめて年金の支払いが受けられます。
そのため、老齢基礎年金や老齢厚生年金ですと、受給資格期間(原則25年の公的年金の加入期間)を満たして支給開始年齢に到達した時点で請求手続きをしなければ、年金の支給は行われません。
要件を満たしている人には自動的に裁定して年金を支給すればよいのではないか、という意見があります。しかし、公的年金制度は国民年金、厚生年金、共済年金と多岐にわたり、一元的に受給資格期間を確認することが難しく、繰上げ、繰下げなど原則の支給開始年齢以外で請求できる制度があることなどから、受給権者の請求によって裁定することになっています。
- 年金の請求の際に、戸籍謄本を添付して夫婦であることが確認できれば、夫の口座への振り込みは可能である
- 内縁関係でなければ、夫の口座への振り込みは可能である
- 夫の口座への振り込みはできない
解説:年金の振込口座は、本人名義に限ります。たとえご夫婦でも妻の年金を夫名義の口座で受け取ることはできません。年金の請求書に希望する受取金融機関の記入欄がありますので、引き出すのに便利なご自宅近くの郵便局や金融機関を指定し、年金受給手続きをしてください。
正解:3- 4月分の年金から支払われる
- 5月分の年金から支払われる
解説:年金の支払い期間は、支払うべき事由の生じた月の翌月から支払うべき事由のなくなった月までとなります。老齢の年金の場合、支給開始年齢に到達した月(誕生日の前日の月)の翌月分から死亡した月分までが支払われます。
このケースでは、4月23日生まれなので4月22日に受給権が発生しますが、4月分の年金支払いはありません。翌月5月分から支払いが始まります。
- ○
- ?
解説:年金の支給日は偶数月の15日(土・日・祝日は前営業日)です。支払い月の前2ヵ月分が指定口座に振り込まれます。たとえば、6月には4月と5月分の年金が支払われます。ただし、初回は偶数月にかかわらず振り込まれることがあります。
正解:2- 年金事務所、または市区町村役場の年金担当窓口
- 事前に請求する人宛に日本年金機構から郵送される
解説:日本年金機構で受給資格期間を確認できる人には、支給開始年齢に到達する月の3ヵ月前に年金の請求書がご本人に郵送されます。請求書には、氏名、生年月日、基礎年金番号等が印字されています。事前に請求書を送付する方式を「ターンアラウンド方式」といいます。もし、届かない場合は年金事務所にご相談ください。
正解:2- 請求書が届いたら、すぐ取り寄せて早めに準備しておく
- 誕生日の日付のものを取り寄せる
- 誕生日の前日以後の日付のものを取り寄せる
解説:戸籍謄本や住民票の写しは、請求者の年金に加給年金額や振替加算額などの加算が付く場合に必要となります。目的は、加算の対象となる配偶者や子供の存在、生計同一であるかどうかの確認等のためです。確認は受給権発生時点で行うため、受給権の発生する誕生日の前日以後に交付されたものでなければならないのです。なお、添付書類はケースごとに必要なものが異なりますので、手続き前に年金事務所で確認されることをおすすめします。電話でも相談できます。
正解:3- 年金が全額支給停止となる場合は請求しなくてよい
- 年金が全額支給停止となる場合でも請求はする
解説:60歳の時点で年金が全額停止となる場合でも、その後に給料や賞与が低下する等で一部支給されるようになることがあります。また、65歳時点では必ず請求を行うことになりますが、60歳で請求をしておけば、65歳での請求ははがきによる簡便なものになります。年金請求は、ご自身の年金の受給権を確認する手続きですので、全額停止の場合も行ってください。
正解:2- 請求手続きについては時効がなく、何年後でも気付いた時に請求すれば全額受け取れる
- 請求手続きについては時効がなく、何年後でも気付いた時に請求することはできるが、年金の支払いは請求から5年以内の期間分となる
- 請求手続き、年金支払いのいずれについても時効は5年である
解説:年金の請求手続きは、時効に関係なくいつでも行うことはできます。ただし、年金の支払いについては5年の時効が定められています。そのため、請求から5年以内に支払われるべきであった年金はさかのぼって支払われますが、5年より前の期間分については受け取ることはできません。
なお、年金加入記録の訂正による増額分が発生した方を対象に、5年の時効により消滅した分を含めて本人または遺族へ全額支払うため、平成19年7月6日から「年金時効特例法」が施行されました。
正解:2【年金の税金】
- 受給額により所得税がかかる
- 受給額にかかわらず所得税はかからない
解説:公的年金のうち、老齢の年金は雑所得として所得税がかかります。
日本年金機構や共済組合は、老齢・退職の年金を支払う際に所得税を源泉徴収します。所得税には各種所得控除が設けられていますが、この所得控除を受けるには、日本年金機構や共済組合から郵送される「公的年金等の扶養親族等申告書」に必要事項を記入して返送しなければなりません。
なお、収入が年金のみの方で、支払いを受ける年金額が65歳未満で108万円に満たない方と、65歳以上で158万円に満たない方については所得税が源泉徴収されませんので、「公的年金等の扶養親族申告書」の返送も不要です。
- 妻の年齢や遺族年金の額により、所得税がかかる
- 妻の年齢や受給額にかかわらず所得税はかからない
- 遺族基礎年金は非課税だが、遺族厚生年金には課税される
解説:遺族基礎年金、遺族厚生年金、遺族共済年金、恩給からの扶助料等、遺族の方に支払われる年金等については非課税となり、所得税は課税されません。また、障害の年金も非課税です。
正解:2- 基金からの年金には所得税がかかる
- 基金からの年金が一定額を超えると所得税がかかる
- 基金からの年金と公的年金を合計したものに所得税がかかる
解説:老齢・退職の年金は、雑所得として所得税がかかります。なお、老齢・退職の年金の他に雑所得として課税の対象となる年金は、厚生年金基金、適格退職年金、確定拠出年金、国民年金基金から支給される年金も含まれます。
正解:3