2012.06.28
クイズで挑戦、あなたの年金力チェック!(4)年金額
梅雨入りを待ちかねたように我が家の梅の木がたわわに実を付けました。梅は、1年交代で豊作が巡ってくるようで、今年は、当たり年です。いつも完熟して木から落ちた実を集めてジャムづくりするのですが、今年は急に梅酒を作ってみたくなり、青梅を1キロ採りました。水につけて2時間程度あく抜きをし、ザルにあげて乾いたところで、ホゾ(実と木とのつなぎ目)を竹串で丁寧に掃除します。それを消毒した蓋付きのガラス瓶に、氷砂糖と交互に詰め、ホワイトリカーを優しく注ぎました。梅の緑と氷砂糖の白、透明なホワイトリカーは、すがすがしい初夏の装いです。初めての梅酒への挑戦でしたが、工程は簡単で、このまま3ヵ月寝かせたら出来上がりとのことです。さて、どんな梅酒ができるのかとても楽しみです。残りの梅は、梅干しにしてみようか、例年通りジャムも作りたいなとささやかな楽しみが梅の実とともに膨らみます。
さて、今回は、「年金額」についてのクイズです。問題文の選択肢の中から正しいものを1つ選んでください。
掲載に当たり、
- 設問・解答・解説は、2012年4月現在の年金制度で作成しました。
- その他、関連する制度等は、当コラムのバックナンバーや下部の「参考」等をご参照ください。
【国民年金の年金額】
- 25年
- 40年
解説:老齢基礎年金は、保険料を納めた期間が40年あれば、満額の786,500円(平成24年度価額)を受け取ることができます。
一方、25年は受給資格を得るために必要な年数です。国民年金、厚生年金、共済年金に加入した期間が25年以上あり、支給開始年齢に到達すれば、受給権が発生します。にもかかわらず、25年納付すれば、満額受け取ることができると誤解されているケースは多くみられます。
- 1万円
- 2万円
- 3万円
解説:老齢基礎年金の計算式は、「786,500円×保険料納付済月数(年数)/480月(40年)」となっていて、保険料を納めた月数(年数)に比例して受給額が決まる仕組みになっています。
保険料を40年間納付することで満額の786,500円(平成24年度価額)を受け取ることができますので、1年の保険料納付では、786,500円/40年≒19,662円≒2万円(年額)、つまり「国民年金の保険料を1年間納付すれば、年額で2万円の老齢基礎年金を作る」ことになります。
- 1つ
- 2つ
- 3つ
解説:国民年金の第1号被保険者については、保険料を納めることが困難な場合、問題文のAからCのとおり保険料の支払い免除や猶予の措置があります。
これらの措置を受けた期間は、受給資格期間(原則25年の加入期間)の有無を判断するときには、すべて合算することができます。
しかし、年金額については、Aの期間は一定割合で反映しますが、BとCについては、追納しない限り老齢基礎年金の額には反映しません。
なお、Aの免除期間の年金額は、免除を受けた時期や免除を受けた割合に応じて、下記のように決められています。平成21年3月以前と4月以後の年金額への反映の割合が異なるのは、基礎年金に対する国庫負担率が3月以前は1/3、4月以後は1/2となっているためです。
- 保険料を納めた期間によって年金額が計算される
- 保険料を納めた期間に関係なく一定額である
解説:遺族基礎年金と障害基礎年金は、保険料を納めた期間にかかわらず、一定額が支払われることになっています。遺族基礎年金の基本年金額は、786,500円(年額,、以下同様)で、妻が遺族基礎年金を受給する場合、子供の人数によって加算額が加算されます。加算額は、1人目と2人目の子供は226,300円、3人目からは75,400円となります(下図参照)。
また、障害基礎年金は、2級の場合は786,500円で、1級の場合は1.25倍の983,100円となります。障害基礎年金にも遺族基礎年金と同様に、子供の加算額が加算されます。
【厚生年金の年金額】
- 厚生年金の加入月数と給料の平均値
- 厚生年金の加入月数と給料と賞与の平均値
- 厚生年金の加入月数と平成15年3月までは給料の平均値、4月以後は給料と賞与の平均値
解説:
●老齢厚生年金の年金額計算の基本的な考え方
老齢厚生年金の計算は、次のようになっています。
この式からわかるように、給料や賞与が高かった人、厚生年金の加入期間が長かった人ほど年金額は多くなります。
●老齢厚生年金の具体的な計算方法
平成15年4月に厚生年金に総報酬制が導入されました。
総報酬制というのは、「保険料や年金額の計算の基礎に給料(標準報酬月額)だけでなく、賞与(標準賞与額)も組み込む」というものです。
そのために、老齢厚生年金の計算において「給料等の平均値」「一定率」「厚生年金の加入月数」が、総報酬制導入前後で次のようになり(赤字部分に注意)、それぞれの期間で計算した額を合算し、スライド率を掛けて求めます。
- 平均標準報酬月額とは、平成15年3月以前の給料(標準報酬月額)の平均値です。
- 平均標準報酬額とは、平成15年4月以後の給料(標準報酬月額)と賞与(標準賞与額)の平均値です。
- 1.2の平均値を算出する際には、過去の給料等を現在の経済水準に読み替える「再評価」を行ないます。
- 昭和21年4月2日以後生まれの乗率は、7.5/1,000、5.769/1,000を使用します。
- 報酬比例部分の月数は、平成15年4月前後で切り分けて、それぞれの実月数を使用(月数に上限なし)します。
- 平成16年の年金改正により、報酬比例部分の年金額の算出方法が改定(給付乗率の5%カット)されていますが、従前額保障の経過措置が設けられているので、現在は「従前額保障(改正前平成6年)」の計算式で求めた年金額が支給されています。
- 基本給だけで決定される
- 家族手当、通勤手当、その他すべての手当も含めて決定される
解説:標準報酬月額は、毎年4月、5月、6月に支払われた報酬の平均額を「標準報酬月額等級表」(1等級(98,000円)から30等級(62万円)までに区分されたもの)に当てはめて決定されます。原則として年に一度見直されます。
報酬は、基本給のほか家族手当、通勤手当、残業手当、役職手当等のすべての手当を加えたものとされています。ただし、臨時に支払われるものや3ヵ月を超える期間ごとに支払われる賞与等は除かれます。
報酬に該当するもの | 報酬に該当しないもの |
---|---|
|
|
- ひと月ごとに、毎月改定される
- 1年分をまとめて、年に1回改定される
- 65歳になるまで改定されない
解説:60歳から支給される特別支給の老齢厚生年金は、59歳11ヵ月までの被保険者期間の給料等の平均値と加入月数で計算されます。60歳以後、厚生年金の加入が続くと、ひと月ごとに被保険者期間が延びて、計算上は、年金額は増えていきます。
しかし、実際に年金額が改定されるのは65歳到達時点、又はそれまでに退職すればその翌月分(月末退職の場合は、翌々月分)からとなります。
つまり、60歳時点での金額は、途中で退職しない限り、65歳までは同じ金額のまま変わらないということになります。さらに、65歳を超えて働く場合も退職しない限り70歳までは65歳時点と同様で、70歳までに退職した場合は改定されます。
なお、厚生年金の加入は70歳までですので、その後働いても年金額は増加しません。
- 5年間低い収入になると給与等の平均値が下がるので、年金額も下がる
- 低い給料になって給与等の平均値が下がっても、加入期間が延びるので年金は増額する
- 給料の額によって違うので、どちらともいえない
解説:給料が下がり、賞与がなくなれば、平均標準報酬額は下がります。しかし加入月数が延びるので、年金額が下がるということはありません。
60歳以後増加する年間の年金額は、次の計算式で計算できます。
平均月収(賞与含む)×0.937(再評価率)×5.769/1,000×60歳以後の厚生年金の加入月数×1.031×0.978
=平均月収(賞与含む)×60歳以後の厚生年金の加入月数×0.00545
(注)0.00545=0.937×5.769/1,000×1.031×0.978