年金コラム

2007.11.15

国民年金の保険料を払わないとどうなる?

こんにちは、社会保険労務士の土屋です。本日も皆さんにとって大変関心の高い年金について、お話しをさせていただきます。

今回は、国民年金の保険料免除についてお話しします。年金を受けるためには、最低でも国民年金に加入した期間が25年間必要です。

会社に勤めて厚生年金に加入している人はその期間も含まれます。また、年金額には反映しませんが、資格期間としては認めてくれる期間があります。たとえば、昭和61年4月1日前の専業主婦の期間や平成3年4月1日前の20歳以上の学生の期間などです。この二つの期間は国民年金には加入しても、しなくてもよかった任意加入の期間でした。この期間のことを、合算対象期間(カラ期間)といいます。つまり、保険料を納めた期間と合算対象期間が25年以上あれば、年金を受ける権利ができることになります。

厚生年金に加入している人であれば、毎月の給料から厚生年金の保険料が天引きされますし、会社が半分負担してくれます。国民年金の保険料は平成19年度価格で1カ月14,100円、年間約16万円強になります。しかも、全額自分で負担します。これを、25年~40年間納めるというのは、結構大変なのではないでしょうか。長い人生なにがあるかわかりません。毎月の保険料を納めるのが苦しいときもあります。そんなときに、利用できるのが国民年金の免除申請制度です。

国民年金の保険料免除申請の手続きは、経済的な理由など(失業等)の為、本人の所得が一定以下に該当した場合、申請することができます。ただし、申請した本人の配偶者や世帯主についても所得等が一定の条件に該当していなければなりません。同居する親に一定以上の所得がある場合は申請することはできません。なお、免除申請は前年の所得を基準に判断されますので、7月から翌年の6月までが免除の対象期間になります。

申請免除は全額免除の他に、半額免除・4分の3免除・4分の1免除があります。全額免除を受けた期間については、国庫負担が3分の1(2分の1に引き上げられる予定です。)ありますので、保険料納付済期間の3分1の保険料を収めたこととして、将来の年金額を計算してくれます。なお、免除を受けた期間については、免除を受けてから10年以内であれば、追納(保険料を遡って納める)することもできます。ただし、免除を受けてから3年度以上経過すると、保険料に加算額が加算されます。

一方、学生や20歳台の人で所得がない人や少ない人には、国民年金の保険料納付を猶予してくれる制度があります。これは、学生等の保険料納付特例や若年者納付猶予 (平成17年4月から平成27年6月までの時限措置)といわれている制度です。手続きは免除申請と同様に社会保険事務所に申請して行いますが、親の収入に関係なく、本人並びに配偶者の所得が一定以下であれば、申請することができます。
ただし、猶予を受けた期間については、資格期間としては認めてくれますが、将来の年金額には反映されません。なお、10年以内であれば、猶予を受けた期間について保険料を追納することもできます。

年金などあてにならないから、払わないという考えの読者の方もおられると思います。多額の不動産収入や高収入を得ることができる職業についている人などは、国民年金などはあてにしなくてもいいかもしれません。しかし、そうでない人はいかがでしょう?年をとって、隣人や友人が年金を受けられるのに、あなたが、もし年金を受けられなかったら、あなたは、どう思うでしょうか?
年をとった場合だけではありません。不幸にして、事故や病気で障害者になって働けなくなったとき、保険料をきちんと納めているか、免除や猶予の手続きをとっていなければ、障害年金を受給することができないかもしれません。

具体的にいいますと、障害の原因である疾病や負傷の初診日、つまり、医療機関にはじめてかかった日の月の前々月までに、保険料納付済期間と保険料免除期間が3分の2以上(つまり未納期間が3分の1を超えていないこと)あることが障害年金の受給の条件になります。《猶予期間中に初診日のある負傷・疾病で障害になり、障害年金が受給できると認定された場合には20歳前障害の障害年金が受給できます。》

※平成28年4月1日前の障害の場合、初診日の月の前々月までの直近1年間に未納期間がなければ、障害年金を受けることができます。ただし、65歳前に初診日のある障害に限られます。

皆さんも年金の手続きはきちんと行い、将来損をしないように、心がけてくださればと思います。

全額免除の所得基準

前年の所得が以下の計算式で計算した金額の範囲内であること
(扶養親族等の数+1)×35万円+22万円

申請者本人の他、配偶者・世帯主の方も所得基準の範囲内である必要があります。

若年者納付猶予の所得基準

(扶養親族等の数+1)×35万円+22万円
申請者本人と配偶者の前年の所得が所得基準の範囲内である必要があります。

※詳しくは社会保険庁ホームページ、 社会保険事務所、住所地の市区町村国民年金担当課までご確認ください。

社会保険労務士
土屋 広和
さいたま総合研究所人事研究会 所属
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