2019.05.21
「れいこ先生のやさしい年金」(13)2019年4月からの改定年金額と産前産後期間の国民年金保険料免除制度について
新しい元号が「令和」と発表された瞬間、私は目の前がくらくらする程の衝撃を受けました。と言うのも私の名前の一文字がそこにあったからです。今、冷静に考えてみてもなぜあれほど驚いたのかわかりません。でも大きく魂を揺さぶられたような衝撃は忘れる事ができません。
その日から「令」は、水を得た魚のように日本中津々浦々を駆け巡り、テレビからラジオから新聞から、国民の皆様の目と耳に飛び込みました。多くの友人がお祝いのメッセージを送ってくれました。その喜びは、思いがけず宝くじに当たったときの胸の高鳴り(当たったことはありませんが・・・)に通じるようにも思えます。令子という名前を授けてくれた亡き父も、あの世で私と同様に驚き、喜んでくれているように感じています。
新時代が「令和」に込められた意味通り「人々が美しく心を寄せ合う」時代になるよう自分なりに努力してゆきたいと思っています。
今回は、遺族や障害の年金の請求に必要な保険料納付要件についてのお話です。
1.2019年4月からの改定年金額
公的年金は、賃金や物価の変動率等に基づいて、毎年4月に年金額の改定が行われます。改定にはいろいろなルールがありますが、本年度(2019年度)は、賃金変動率がプラスであった為、マクロ経済スライド調整による調整も行われます。
その結果、本年度の年金額は、平成30年度から0.1%引き上げられた金額となりました。
具体的な金額は次のようになります。(年金額について特に記載がない場合は、年額表示です。)
(1)2019年度の国民年金の基礎年金額(カッコ内は前年度価額)
① 老齢基礎年金 780,100円 (779,300円)
② 障害基礎年金 1級: 975,125円 (974,125円)
2級: 780,100円 (779,300円)
③ 遺族基礎年金 780,100円
(2)2019年度の国民年金の基礎年金額(カッコ内は前年度価額)
① 遺族・障害基礎年金の加算額 2人目までの子 224,500円
3人目以降の子 74,800円
(参考)

② 加給年金額・振替加算額・経過的寡婦加算額
老齢基礎年金・老齢厚生年金早見表をご参照下さい。
※加給年金額《K欄》 振替加算額《E欄》 経過的寡婦加算額《L欄》

③ 国民年金保険料 16,410円/月 (16,340円)
(3)2019年度老齢厚生年金の年金額 (カッコ内は前年度価額)
① 老齢厚生年金の額は、平成30年度の額から0.1%の引き上げとなります。
② 定額部分の単価 1,626円(1,625円)
③ 障害手当金の最低補償額 1,170,200円(1,169,000円)
④ 障害厚生年金3級最低補償額 585,100円(584,500円)
⑤ 在職老齢年金支給停止調整開始額 28万円(改定なし)
支給調整変更額 47万円(46万円)
(4)2019年度新規裁定者モデル世帯の年金額
2019年度(月額) 2018年度(月額)
老齢基礎年金(満額1人分) 65,008円 64,941円
老齢基礎年金+老齢厚生年金 221,504円 221,277円
(夫婦2人分)※1
※1 厚生年金は、夫の平均的月額収入(42.8万円(賞与含む))で40年間勤続。
その間妻は、専業主婦であった場合の試算。
2.産前産後期間の国民年金保険料免除
産前産後期間の保険料免除制度は、厚生年金においては2014年4月から実施されていましたが、国民年金においても2019年4月からスタートしました。
【概要】
2019年4月1日から、国民年金の第1号被保険者(日本に居住する20歳以上60歳未満の人で、国民年金の第2号被保険者や第3号被保険者に該当しない人。具体例としては、自営業者等とその家族、学生、無職の人等)の産前産後期間の保険料(2019年度は16,410円/月額)が被保険者の届出により、2019年4月1日から免除されることになりました。
なお、国民年金の第2号被保険者(厚生年金の被保険者)については、2014年4月から免除になっています。また、国民年金の第3号被保険者は、本人からは保険料の徴収を行わない為、免除はありません。
【詳細】
(1)免除期間
出産予定日または出産日が属する月の前月から4か月間(以下「産前産後免除期間」といいます。)の保険料が免除されます。
ただし、多胎妊娠の場合は、出産予定日または出産日が属する月の3か月前から6か月間が免除されます。
なお、出産とは、妊娠85日(4か月)以上の出産で、死産・流産・早産も含みます。
(2)免除対象者
産前産後免除期間において、国民年金の第1号被保険者期間を有する人が対象で、具体的には単胎の場合、2019年2月1日以降の出産日が対象となります。ただし、実際に免除される保険料は2019年4月分以降です。(施行日が2019年4月1日の為)

(3)免除の届出時期
産前産後期間の免除を受けるには手続きが必要で、出産予定日の6か月前から届出を行うことができます。
(4)免除の届出に必要なもの
① 個人番号または基礎年金番号の確認 ⇒ マイナンバー(通知)カードまたは年金手帳等
② 本人確認 ⇒ マイナンバーカードまたは通知カードや運転免許証等
③ 出産日に関する確認
・出産前の届出 ⇒ 母子健康手帳等で出産予定日を確認
・出産後の届出 ⇒ 原則として不要(出生児と別世帯の場合は、出生証明書等、出産日および親子関係を明らかにできる書類。)
④ 認印 ⇒ 本人以外が届書を記入する場合に必要
(5)免除の届出先
住民登録をしている市(区)役所または町村役場の国民年金担当窓口
(6)その他
① 産前産後免除期間として認められた期間は、保険料を全額納付したものとして老齢基礎年金の受給額に反映されます。
(本来の免除制度では、国庫負担分と実際に保険料を納付した分しか、老齢基礎年金の受給額には反映されません。)
② 産前産後免除期間として認められた期間についても、付加保険料を納付することができます。付加保険料を納めると、その納付状況に応じた付加年金が、老齢基礎年金と一緒に受給できます。
(本来の免除制度では、免除として認められた期間の付加保険料は納付できません。)
③ 他の免除制度の承認を受けている場合でも、産前産後免除期間としての申請を行うことが可能です。
(本来の免除制度よりも、産前産後の免除の方が有利な取扱いとなる為です。)
④ 産前産後免除期間については、世帯所得にかかわらず免除を受けることができます。
(本来の免除制度では、世帯所得が高額な場合は免除が認められません。)
⑤ 国民年金の保険料を既に前納している場合は、産前産後免除期間として認められた期間の保険料は還付されます。